掛川純子さんインタビュー

まわりにも、自分にも、「ありがとう」と言えるようになった



にしかわ:

ヨガを始めたきっかけを教えてください。



純子さん:

子どもが小さかった時に、佐久の友人がやっているヨガ教室に参加したのがきっかけです。子育てしているとき、身体に力が入りっぱなしで。ヨガで身体と心を弛められて、とても助かっていました。

その教室では、自分の身体にありがとう、と感謝の気持ちを伝えていました。クリパルヨガクラスでは、「自分への敬意」という言葉をよく聞きますね。感謝と敬意。

いずれにしても、ヨガが終わったあとには、自分や周りの人にありがとうの気持ちが生まれてくるようにまで、色んなことが変わったような気がしています。



にしかわ:

感謝の気持ちが湧いてきた。それは以前とは変わったところなのですね。



純子さん:

そうです。以前は、自分のことを分かってほしいとばかり思っていたんです。わかってくれないと辛くなって。でもヨガを始めてから、大きな気づきがありました。それは、どんなに自分のことを他人に説明しても、自分のことは自分にしかわからないんだ、ということでした。自分で自分に「ありがとう」と言えるようになったら、他人にあまり求めすぎることがなくなりました。



にしかわ:

他人との関係性が、変わってきたんですね。



純子さん:

そうですね。ずっとわたしは、人と話すときに緊張していたというか、身構えていたように思います。何か話をふられたら、それを“聞く”のではなく“対処をする”ことが大事だと思い込んでいて。話をただ聞くことができなかった。

それが、今では話を聞いたときに、「ハア~~~ッ」と出来るようになって。



にしかわ:

今の「ハア~~~ッ」は呼吸ですか?



純子さん:

そうです(笑)。ハア~~~ッと一呼吸の間が取れれば、「そうなんだね」とか言えるんですよね。以前は、言えなかった。

家族に対しても、話を聞いている端から注意をしたり、反論したりしないと気が済まなかったんです。勝手に心配しすぎて、相手が求めているかどうかにかかわらず、先回りして“対処”してしまうこともありました。でもそれは、相手の必要ではなく、自分の心の反応なんだ、ということに気づいたんです。
「そうか、そうなんだね」と受け止める一言が自分から出せれば、相手の気持ちもぜんぜん違ってくるということに気づきました。



にしかわ:

ハア~~~ッの効能はすごいですね。

ところで、「気づきのヨガ」クラスでは、弛めるばかりではなく、時に筋力を使う力強いポーズもありますね。それはどうでしょうか?



純子さん:

それがまた、いいんですよね。インナーマッスルっていうんでしょうか。あまり普段使わない筋肉を使うから。

それに、クリパルヨガは安全性に配慮がありますよね。たとえば、背骨をねじる時にねじり過ぎないように、背骨を伸ばして骨盤を安定させるとか。だから力強いポーズも、安心してできます。

年齢とともに体力が落ちてくるから、身体を鍛えることは大切なんですけど、わたしはハードな運動は苦手で。ヨガや散歩みたいに、楽しく続けていると知らないうちに鍛えられている、というのが好きです。

ときどき、ヨガの最中に筋肉がぷるぷるしてて、笑ってしまうことがあります!



にしかわ:

筋肉がぷるぷるしてるってことは、ちょっとハードな印象です。実は大変な時もあるわけですよね。でも、それも含めて楽しめているってことですか?



純子さん:

…そうか。そうかもしれないです。

ほら、「そうか」って言えるようになってる!



にしかわ:

なるほど、本当だ!(笑)そこなんですね。



頭で思っていることと、実際は違うのではないか



純子さん:

それから、クリパルヨガに出会って衝撃的だったことがあって。

クリパルヨガはただゆるりと身体を動かすだけじゃなくて、けっこう細かく身体の配置(アライメント)を見ますよね。

わたしは根拠のない自信があって、「自分は出来ている」と思い込んでいたんです。でも、足の位置がどうなってるか自分の目で見て確認しましょう、と言われたときに、自分の足が外側に倒れていて、、、すごくショックでした。なんというか、頭で思っていることと、実際に起こっていることは違うんだということを、まざまざと思い知らされたというか。



にしかわ:

セルフイメージと、実際のズレを感じたんですね。



純子さん:

そうです。わたしは腰痛持ちなのですが、腰を真っすぐに伸ばしてるつもりでも、実は反っている、というのも発見でした。反り腰なんですよね。

(横向きの戦士のポーズで)両手を開いて、右手を見て!と言われると、左手や体の中心のことを忘れ、無意識に腰が反ってしまう。そこに気が付いていなかった。言われて初めて、真っすぐ立つために自分で調整するようになりました。胸を開いて、肩の力を抜いて、お腹を引き入れて、自分の可能性を信じて、あともう少し伸ばして。伸ばすためには、土台やバランスを確認します。真っ直ぐ立つために何を調整したら良いか、最近やっとわかってきました。ヨガを始めて数年経って、やっとです。



にしかわ:

時間をかけて身につけてきたことは、宝物ですね。本当に素晴らしいです。



純子さん:

実際に見たり動かしたりして確認すること、教えてもらって直すことの大切さ、ありがたさを、やっと素直に受け取れるようになってきました。あきらめずに気長に付き合ってもらえていたこと、良いところを見てもらえていたことに、ありがとうしか、ありません。感謝の気持ちを感じる私の心にも、ありがとう!
これからも、自分も周りも変化して行きます。その中で、自分の「今」を感じるヨガの時間を、生活に取り入れていきたいです。



にしかわ:

今日はステキなお話を、ありがとうございました。